北山杉 磨き丸太のいわれ - 砂洗いについて(菩提の滝の砂) -

菩提の滝 話を要約すると、
『昔、中河村で諸国行脚の僧が行倒れとなった。基本もある高層なので中河(注)の人たちが親切に介抱して助けてあげた。半年近くも病んだらしいが、すっかり全快されてその時、「中河村はお米がないのに永い間よくも親切にお世話にしてくださった。おかげさまでこのように全快できて、ただただ感謝の他はない。何かお礼をしたいがご存じのとおり今の拙僧には何のお礼もできない。だが、この土地には“菩提の砂”というどこの土地にもない全く珍らしい良い砂がある。その砂を利用して、あの杉丸太を磨いて商ったら必ずこの土地が栄えるでしょう。」と、それから磨丸太を製造するようになったので、北山磨丸太の元祖はその坊さんですよ。』
 と教えてくれた。そこで考えられることは、中河村は米が採れないこと。「菩提の砂」はこの土地以外にないということ。
(この磨き砂については既に述べたが、僧はこの中河村へ来る途中、気分が悪くなり水を求めて京道川に下り、その時にこの砂を発見されたものだろう。)
また、この高僧は諸国行脚をしていられるので、各地のいろいろな風土や産物についてもよく見聞しておられると考えられること。これをさらに推測すると室町時代初期の茶室建築には、「シイ」や「シデ」の皮をむいた雑木の床柱が使用されていたことは古建築の章でも記述したとおりであり、僧もこれらの建築物から『北山台杉の状況を見て療養中に磨丸太を着想せられた』ものと察せられること。

(注)中河=現京都市北区中川北山町

坂本 喜代蔵 著『北山台杉と磨き丸太』 大日本山林会 発刊より

→育林から製造・販売まで

→京都北山 ~北山杉のふるさと中川~
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